朝日新聞 2007/5/13(日)付 「社説21」をどう読むか

朝日新聞で5月3日に掲載された社説特集に対する専門家の意見が2回に分けて紹介されるが、その第一弾が5月13日に掲載された。

その中から、共感した部分を抜粋してみよう。

まずは、元国連事務次長 明石康氏の憲法9条改正問題への切り替えしが心地よい。聞き手も立場なしというところか。

「一部の心ない政治家が変な発言を続ける中で9条を改めればアジアの近隣諸国の不満がましてしまう、という心配はわかる。9条があろうとなかろうと、我々は歴史の重みを受け止め、反省すべきだ。9条がなければもっと歯止めがなくなるというのが朝日の心配なのだろう」
―確かに心配です。
「ドイツは9条がないけど、戦争への反省を行動で示している。我が国の政治家は9条があっても、戦争責任の問題で失言を繰り返している。これを見れば、9条が歯止めになっているとは言い難い」


続いては、東大教授 北岡伸一氏の一刀両断コメント。聞き手が冷や汗をかいている状況が目に浮かぶようだ。

―提言全体の評価はいかがでしょうか。
朝日新聞はこれまで、戦略という言葉を忌避する傾向が強かった。それが今回、『日本の新戦略』という提言をしたことを評価したい。ただ、戦略とは限られた資源をいかに投入するかということなので、政策の順位づけと実行手順の提示が欠かせない。今回の提言はこの点が不十分で、目標の羅列になっている。今後も、提言を実現するための財源はどうするのかといった裏付け作業を進めて紙面化して欲しい」


その他にも、「世界中が9条を評価しているとの主張は過大評価」「政治が9条の役割を代替できるか不安とする一方、中国との付き合いでは強い政治を求めている」と主張のチグハグさへの指摘も手厳しい。

結局、これだけの紙面を使って、朝日新聞はどうしよう(どうしたい)と思っているのか?憲法記念日の企画モノではなかったのか?環境問題と引っ掛けることで、ポイントがぼやけ過ぎ。専門家の意見に対する朝日側の回答もないし、持論の検証にもなっていない。

憲法にテーマを限らないなら、私ならまず内政問題に切り込むだろう。「地球貢献国家をめざそう」などというユートピア論は置いておいて、目の前に迫った少子化、年金、医療、貧富格差、教育、安全などの諸問題について、国民の議論を誘発、成熟させるような提案をして欲しかった。

これでは、環境問題の利害関係者と朝日新聞がつるんだキャンペーンでは?と勘ぐりたくもなってしまうよ。