【出典】朝日新聞 2021年4月28日夕刊

老朽原発再稼働福井県知事が同意

 運転開始から40年を超える関西電力の老朽原発3基について、立地する福井県の杉本達治知事は28日、県庁で記者会見し、再稼働に同意すると表明した。東京電力福島第一原発事故後、原発の運転が原則40年と定められた後に全国で初めて、老朽原発が再稼働する。

 杉本知事は会見で、再稼働について「(3基の地元の)高浜町美浜町、県議会の意見と国、事業者から示された内容を確認し、総合的に勘案したうえで同意する」と話した。

 杉本知事が再稼働に同意したのは関電高浜1,2号機(高浜町)と美浜3号機(美浜町)。運転開始から44~46年を超える。

 再稼働には地元首長、議会の同意が必要とされる。3基については高浜、美浜両町が2月までに同意し、福井県議会が4月23日に容認。知事の判断が焦点になっていた。

 関電は5月中の再稼働を目指す。3基とも福島第一原発事故の発生前後から止まっており、10年ぶりの再稼働となる。原子力規制委員会の新規制基準で設置が求められているテロ対策施設について、関電は4月22日、高浜1、2号機は期限の6月9日に完成が間に合わないと発表した。美浜3号機も設置期限が10月に迫っており、3基の再稼働は短期間にとどまる可能性が高い。

 2013年施行の改正原子炉等規制法は、原発の運転期間を原則40年と定め、規制委が認めた場合は1回に限り最長20年延長できるようになった。3基のほかに、日本原子力発電東海第二原発茨城県東海村)が規制委から認可を受けたが、再稼働のめどはたっていない。

 全国では廃炉が決まった原発を除き、計5基が5年以内に運転40年を迎える。