朝日新聞2009年5月6日『コンビニ店主「見切り販売」の動き 販売期限前に値引き』より

「アルバイトは、食品を捨てることに後ろめたさを感じていたようで、喜んでいます」という部分が、心に引っかかった記事だった。

フランチャイズ制度の上にあぐらをかいて利益だけを吸い上げる企業側(ワルモノ)と、絶対的に不利な立場で契約させながらも、実際に第一線でお客様に接し、従業員・アルバイト達と日々現場で苦労するオーナー側(正義のヒーロー?)との対立構造の中で、「食品を捨てることに後ろめたさを感じ」る感覚が『ザ・日本人』的なマインドであり、ヒーロー側に肩入れしたくなるエピソードになっている。

ただこれが、中国人とかアメリカ人、ロシア人、フランス人なら、どのような一文が挿入されるだろうか?想像するだけで、面白い頭のトレーニングになりそう。 前後のストーリーからして敢えて差し込む必要はなかったと思うが、あえてこの一文入れた記者に「アッパレ!」。

売れ残りによる廃棄を減らすため、販売期限前に弁当などを値下げして売る「見切り販売」を導入するコンビニエンスストア加盟店が各地で出始めた。公正取引委員会によるセブン―イレブン・ジャパンへの調査が判明した今年2月以降、見切りを始めた複数のオーナーが「廃棄が半分に減って利益が増えた」と話している。すでに国会でも取り上げられており波紋が広がっている。

西日本のセブンオーナーは、3月から弁当や総菜などの見切り販売を始めた。本部指導員からは「全店に広がったらセブンはつぶれる」と言われた。1カ月間に出る廃棄の量は「半分以上も減った」。値下げをするため、売り上げは5%減(前年同月比)だったが、店が負担する廃棄代が減ったため利益は逆に3割以上増えた。「特に主婦のアルバイトは、食品を捨てることに後ろめたさを感じていたようで、喜んでいます」

昨年末から度々、本部側に見切り販売を提案していた東日本のオーナーも3月から踏み切った。これまで「契約解除になりますよ」と高圧的だった本部指導員の態度が、ややおとなしくなったためだ。1日あたり最大で1万円分の商品を見切り販売した結果、廃棄の量は約半分に。売り場での混乱もなく安心していた。

一方、福岡県の40歳代のオーナーは「契約更新の拒否が怖い」と、踏み出せないでいる。更新は10年も先の話だが、公取委の調査結果がでるまで、様子をみるつもりだ。

見切り販売がどの程度広がっているか現時点でははっきりしないが、公取委の調査結果次第ではさらに広がる可能性がある。

セブン―イレブン・ジャパンは「デイリー商品(弁当や総菜など消費期限の短い食品)の値下げを実施している店舗はごくわずか」と主張している。 (以下、省略)