AI技術によるメガソーラーの保守点検

固定価格買取制度(FIT)の導入や電気事業法の改正による保安規定の緩和など、環境配慮の観点からメガソーラーの稼働プラント数が急上昇してきた。その出力も競うように高くなり、この10年間で100メガワットを超えるプラントまで誕生している。太陽電池モジュールの枚数が多くなるほど発電量は増えるが、その数のモジュールを設置するには広大な敷地が必要となる。例えば、100メガ級のプラントの場合、太陽電池モジュールは40万枚に達し、メンテナンスにはそれだけの枚数をチェックしなければいけない。

膨大な数の太陽電池モジュールの中から発生したホットスポットを探し出すツールとして、2010年代半ばからサーモグラフィが使用され始めた。近年はドローンに搭載され、さらなる広範囲探査、およびAIによる自動解析で効率のよいトラブル源の検出が可能になった。ドローンを飛ばすには許可申請や操縦士資格の取得といった細かいルールがあるが、すべての太陽電池モジュールを上空から短時間でトレースすることができるということは、主任技術者の労力と点検時間の大幅カットにつながる。

また、広大な敷地に生育する植物を放置しておくと太陽電池モジュールに影ができ、発電量の低下だけでなくホットスポットの原因にもなるため、雑草の処理も不可欠な作業となる。ここは、AI搭載の除草ロボットが活躍するフィールドとなる。

このように、空と陸の両エリアで、AI技術の台頭による保守メンテナンスの圧倒的な効率アップが実現されている。

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【出典】電気総合誌オーム2021年1月号から筆者改編