本質安全防爆技術
1.ツェナーバリア
- 自己電流をグランドに流転するための本安接地(第A種接地)がCENELEC(欧州)、BASEFA(英国)、FM(米国)では要求されている
- 接地点間の電位差によるスパークを防止するために、危険場所回路(本安回路)は500Vrmsの絶縁耐圧が必要
- 安全場所側回路はフローティングされており、2点接地によってシステム機能上好ましくないグランドループを構成しないように、バスバーでの1点接地が要求される
2.絶縁バリア(本安アイソレータ)
- 安全場所から危険場所回路に危険な電気エネルギーが流入しないように1次・2次側間にアイソレーションと、出力側回路にツェナーバリアを使用した本安防爆回路により防爆事故を未然に防止
- 絶縁バリアで必要とされる電力は、本安トランスから供給され、信号又は情報の伝達は本安アイソレーション部品(リレー、フォトカプラ、特殊トランス)により行われる
- 入出力間の絶縁が行われるため、本安接地が不要
- ツェナーバリア使用時には出来ない①本安回路の接地、②高電圧(電力)供給、③各種信号変換機能追加、が可能
本安システムを構成するには本安機器、配線パラメータ及びバリア又は本安関連機器それぞれの本安性の確認が必要であり、バリアを危険場所回路と安全場所回路間に挿入するだけでは達成されません。何故なら、バリアは危険場所に流入するエネルギーを発火エネルギー以下に制限しますが、バリア又は本安関連機器経由で少しずつ流れ込む電気エネルギーが現場機器(配線含む)のキャパシタンス及びインダクタンスに蓄えられ、高レベルとなって一度に放出されたのでは意味がないためです。
本安回路のパラメータ組合せは以下に示す通りです。
バリア:最大電圧Uo、最大電流Io、最大電力Po、許容インピーダンスLo、許容キャパシタンスCo、許容インダクタンスと抵抗の比Lo/Ro
本安機器:許容電圧Ui、許容電流Ii、許容電力Pi、内部インダクタンスLi、内部キャパシタンスCi、内部インダクタンスと抵抗の比Li/Ri
外部配線:インダクタンスLc、キャパシタンスCc、インダクタンスと抵抗の比Lc/Rc
【組合せ条件】
Ui ≧ Uo、Ii ≧ Io、Pi ≧ Po
Li+Lc ≦ Lo、Ci+Cc ≦ Co、Li/Ri+Lc/Rc ≦ Lo/Ro
(注)バリアに許容インダクタンスと抵抗の比が定められている場合は、本安回路キャパシタンスCiが許容キャパシタンスCoの1%を超える場合は使用できません。
ここで、蓄積エネルギー(1/2CV^2又は1/2LI^2)の許容キャパシタンスは電圧、許容インダクタンスは電流、抵抗は配線特性とサイズで決まります。本質安全防爆は、主に小電力に適用できる技術であり、ガスグループⅡC(水素)は30V、250mA、3W、またⅡBは42V、500mA、5Wが適用限界の目安です。